『科学技術の発展により人は嘘と真実の狭間を行き交う ― 信じるとは何か』
写真や映像が証拠とされた時代は過去のものとなり、AIやデジタル技術が虚構を現実のように見せる時代、私たちは「真実」をどのように捉えるべきでしょうか。本書は、古代ギリシャの哲学から現代の科学技術、メディアの情報操作、心理学的な認知の仕組み、歴史の中のプロパガンダに至るまで、多角的に「信じるとは何か」を探究します。嘘と真実が交錯する社会において必要なのは、単に事実を見抜く力ではなく、誠実さと倫理をもって生きる姿勢です。本書は、揺らぐ真実の中で「どう信じ、どう行動するか」を問い直す道標となる一冊です。
『人はなぜ動くのか ― ベクトル思考で読み解く欲望と価値の力学』
なぜ人はためらい、行動し、ときに後悔するのか。本書はその問いに「ベクトル思考」という新しい視点を与えます。ベクトルは数学では方向と大きさを持つ矢印ですが、人生にも応用できます。欲望は人を押し出す矢印、価値観は進む方向を示す矢印、社会の圧力は外から作用する矢印、そして時間はそれらを回転させ強さを変える力です。私たちの行動は偶然ではなく、これらの矢印の合成として形づくられます。勉強と遊びのあいだで迷う学生、健康と誘惑の間で揺れる人、安定と挑戦を秤にかける社会人――その背後にある力学を「矢印の言語」で読み解きます。本書は人生を偶然ではなく設計できる軌跡としてとらえるための現代の啓蒙書です。
『出版の大衆化と玉石混交 ― AI時代に本を選ぶ力』
AIと電子出版の普及によって、出版は誰もが容易に本を作り世界へ発信できる時代を迎えました。多様な声が可視化される一方で、出版物は玉石混交となり、「本=信頼できる情報」という前提は崩れつつあります。かつて出版社や専門家は「質のフィルター」として機能してきましたが、その役割は弱まり、いまや読者自身が批判的に選び取る力を持たなければなりません。本書はグーテンベルク以来の出版の歴史をたどり、AIがもたらす変化を分析し、情報過多の時代における本の新しい価値を問い直します。知の灯台として本を位置づけるための道標となる一冊です。
『欲望ベクトル理論 ― 人間行動から社会・文明を読み解く』
人間は何を求め、なぜ争い、どう共存するのか―本書はその根源的な問いに「欲望ベクトル」という視点から迫ります。欲望は方向と強さを持つ力であり、個人の行動から社会の構造、さらには文明の発展や衰退にまで関わっています。経済格差や貧困、戦争や差別、環境破壊、文化摩擦、老いと死、そして幸福と生きる意味―これら一見異なる問題も、欲望ベクトルの衝突と調和として理解できます。本書は総論と各論を通じて、人間行動の背後にある普遍的原理を示し、現代社会を新たな視点から読み解く思考の枠組みを提案します。
『頭が良いとは何か ― 見える知性と見えない知性』
本書は「頭が良い」を、点数や話術といった“見える指標”だけで測らない。学校・職場・家庭という文脈で賢さは姿を変え、内省・創造・目的設定といった“見えない知性”が長期的価値を生むことを、ガードナーの多重知能理論やメタ認知、経験による可塑性の視点から解き明かす。未来を読む力や構想力と「賢明さ」の違いにも触れ、評価と報酬の仕組みに潜む偏見を見直す。他者評価を超え、自分の問いと判断で生きるための知性の設計図。
『できないことができるようになる条件 ― 信念・努力・方法の力』
人は誰しも「できない」という壁にぶつかる。しかし多くの「できない」は「まだできない」にすぎない。本書は、できなかったことをできるように変える三つの条件―信じること、諦めないこと、そして正しい方法――を明らかにする。信念が行動を生み、努力が継続を支え、方法が成果へと導く。この三つがそろえば、現実的な高目標―難関大学への合格や国家試験の突破など――も決して夢ではない。高すぎる目標に挑戦することにも意味があり、その過程が人を成長させる。才能よりも、信じて続け、方法を修正する力こそが、できないことをできることに変える鍵である。
『欲望を支配する因子 ― 欠乏感度という概念』
本書は、人間の行動を突き動かす欲望を「欠乏感度」という独自の概念から解き明かす試みである。欠乏感度とは、欠けているものに対してどれほど強く反応するかを示す指標であり、欲望そのものではなく、その強さを決定づける上位の因子である。欲望は価値観によって方向づけられ、欠乏感度によって大きさが定まるベクトルとして表される。欠乏感度が高い人は、同じ不足に対してより強い欲望を抱き、行動へと駆り立てられる。一方、過度な感度は執着を生み、低い感度は停滞をもたらす。本書は、欲望の成長と抑制の力学を描きながら、人間の生き方を支配する見えざる因子を哲学的に探る。
『美とは何か ― 本能と文化がつくる二重構造』
本書は、「美とは何か」という問いを、視覚的な美に限定して考察したものである。人が美しいと感じる感覚には、文化や個人差による相対的な側面がある一方で、若さや健康、左右対称性といった本能に根ざした普遍的な基盤が存在する。本書ではまず、動物としての人間が持つ美の本能的条件を整理し、次に「美しい」と「魅力的」の違いを明らかにする。さらに、地域や時代によって変化する後天的な美意識を分析し、戦後日本のふくよかさ志向から現代のスリム志向、西洋の健康的な日焼け観などを具体的に示す。美とは主観的感覚だけではなく、進化と文化が重なって形づくられた二重構造であり、人間理解に深く関わるものである。